漢方薬のゆりかな

梅雨の養生 ~湿気の季節を健康に過ごす漢方の知恵~

梅雨の季節になると、体がだるい、食欲がわかない、気分が落ち込むなど、なんとなく不調を感じる方が増えてきます。気温や湿度の変化だけでなく、体の中にも湿気(湿邪)が溜まりやすくなるこの時期。漢方では、この「湿邪(しつじゃ)」が不調を引き起こす原因と考えます。
今回は、梅雨にありがちな不調とその原因、そして日常でできる養生法についてご紹介します。

「湿邪」がもたらす梅雨の不調

漢方では、自然界に存在する「風・寒・暑・湿・燥・火」の6つの邪気(外邪)が体に影響を与えると考えます。梅雨の時期に特に強くなるのが「湿邪」です。湿邪は重たく、粘り気があり、停滞しやすいという特徴があります。そのため体内に湿邪が入り込むと、以下のような不調を引き起こすことがあります。

  • 全身が重だるく、疲れやすい

  • 胃もたれし、食欲が出ない

  • 関節が腫れて痛む

  • めまい・頭痛がおこりやすい

  • 気分が落ち込みやすい

これらは体内の「水(すい)」の巡りが滞ることで起こります。特に「脾(ひ)=消化吸収をつかさどる臓腑」は湿邪の影響を受けやすく、脾の働きが落ちると、食欲不振やむくみ、下痢といった症状が出やすくなります。

梅雨におすすめの養生法

では、この湿気の多い時期を元気に過ごすためには、どのような養生を心がければよいのでしょうか。漢方では「未病(みびょう)」、つまり病気になる前にケアをして健康を保つことを大切にします。次のようなポイントを意識するとよいでしょう。

1. 胃腸をいたわる食事を心がける

  • よく噛んで(1口30回以上)食べ、食べ過ぎないようにしましょう(腹七~八分目)。

  • 暑い日でも冷たい飲み物や生ものは控え、白湯や温野菜、スープなどが理想的です。

  • 水を巡らせる食材(キュウリ、はと麦、小豆、冬瓜、もやしなど)を積極的に摂りましょう。

  • 黄色の食材や自然の甘味のある食材(かぼちゃ、さつまいも、とうもろこし、キャベツなど)は脾の働きを助けます。

2. 適度な運動と発汗を

  • ストレッチやウォーキングなどの軽い運動で「気・血・水」の巡りを促しましょう。

  • 湯船にゆっくりつかって汗をかくのも効果的。半身浴もおすすめです。

3. 環境の湿気を除く

  • エアコンや除湿器で湿度をコントロールしましょう(理想は50〜60%程度)。

  • 寝具(布団、シーツ、パジャマ)の乾燥、汗をかいたら着替える、入浴後はすぐに髪を乾かす、なども。

4. 気分のケアも忘れずに

  • 湿気は「気」の巡りも滞らせ、憂うつ感や無気力を生みやすくなります。

  • 好きな香り(ハーブやお香)でリラックスしたり、深呼吸で気の巡りを助けましょう。

  • あまり思い悩まずに穏やかに過ごしましょう。

おわりに

梅雨は湿邪の影響を受けやすく、脾の働きが低下します。
体内の湿を除く養生をし、脾を労わることで、梅雨明けの夏バテ予防にも繋がります。

漢方には、自然のリズムに寄り添いながら、健康に過ごす知恵が詰まっています🍃

#漢方薬のゆりかな #漢方薬 #漢方相談 #自然の力 #神奈川県伊勢原市 #小田急線伊勢原駅 #セルフメディケーション

記事一覧へ
NEW ARTICLE
新着記事